NPBで選手生活を続けていたならば、あるいはONを凌駕する大打者になったかもしれない。MLBで苦労する松井秀喜の姿は、変貌しようとするNPBそのものと言えるのではないか。
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【キャリア】

石川県根上町出身。星陵高校時代に甲子園で5打席連続敬遠されるなど屈指の強打者として全国に知られる。93年ドラフト1位で巨人入団。外野手として活躍。2003年NYYに移籍。2010年LAA、2011年OAK、2012年FAののちTBに入団。7月に戦力外に。

【タイトル、それに準ずる記録】

NPB

●首位打者1 ●本塁打王3 ●打点王3 ●最高出塁率3 ○最多得点5 ○最多四球4○最多得点5 

・打撃10傑入り5 ・OPS.900以上7 ・RC100以上7 規定打席以上9シーズン

MVP3 ベストナイン8 オールスター出場9 ゴールドグラブ3

MLB(2009年まで)

・打撃10傑入り1 ・OPS.900以上1 ・RC100以上2 規定打席以上7シーズン

オールスター出場2

【論評】

このSTATSを見ていると、松井秀喜は王貞治の引退以来14年目にして現れた、巨人にとっては待望久しい「本物の大打者」だったことがわかる。

毎年のようにタイトルを獲得し、各賞を総なめにする。長打があるだけではなく、安打も安定して打つことができる。鋼鉄のような巨体で故障もない。そして毎年のように進化を続けた。
10年目の2002年には本塁打は50本に達した。このままいけば、NPBの主だった打撃記録は松井が塗り替えるものと思われた。
バットスイングの速さ、そしてミートの巧みさ。初期はスランプ持ちだったが、それも解消された。さらに言えば「不動心」に象徴される清廉潔白さも巨人にふさわしかった。

2003年のNYY移籍はイチローの驚異的な活躍が布石となっているだろう。ともにNPBでは傑出した存在だった松井にしてみれば、同様の活躍ができると考えても不思議ではない。

しかしMLBでは期待に十全に応えたとは言い難い。大けがの影響はあったとはいえ、すべてのSTATSほぼ80%の数字になってしまった。松井はMLBとNPBの野球の差を体現していると言って良いだろう。

今、最終コーナーを回ろうとしている松井の姿は、必死で尊厳を維持しようとしているように思える。活躍を祈ること切。

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